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不機嫌なナターシャ


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新体操選手だった。1996年オスロの大会会場で私服姿の彼女を見かけてシャターを切った。ロシア極東イルクーツク出身の彼女はどちらかと言うとアジア圏に近い顔立ち。色白でもなく黒い髪と黒い瞳をしていた。実は私は彼女の指導者と顔見知り。でもだからと言って親し気に話しかけることはしなかった。

カメラマンとジムナスト

この距離はファインダー越しをよく表している。隔たりがある方が心地良い緊張感があって私は好きなのだ。
それでもこの人は人なつっこかった。目が合うとニッコリ頬笑むのでこちらまでつられて笑顔になり、時には互いに片言の英語で会話もした。それでも私は距離を保ち続けた。

手が届くけれど慣れたくはなかった

そうこうするうちに彼女は大会でメダリスト常連になっていった。その強い眼差しと個性は健在だったが、2000年シドニー五輪の2年前に怪我で引退。今はどうしているだろう。

現役を退いた後も美しい人はいるが、見違えるほど老けた容姿に年月の残酷さを感じることも少なくない。

このまま記憶とネガの中に残像として留め続けるのが幸いなのかも知れない。


ナタリア・リプコフスカヤ


私の記憶に刻まれた美しい女性。写真はこの時間以降、時を刻んでいない。幸いなことだと心から思う。
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by maria-letter | 2011-11-14 21:54 | beautiful people
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